看護師長・主任会での取り組み
2023.11.23
■はじまりはコロナ そして 今だからこそ
コロナウイルス感染拡大に伴い、医療分野での取り組みには個々の医療職の方々の多大なる努力が必要であったことを私たち一般人はメディアを通じて知らされています。実際の現場において、医療従事者である責任感と正義感をもって業務にあたられるその時は、皆様自身のケアを後回しにして必死に取り組んでこられたのではないかとお察しいたします。
さて、5類に分類されるようになった現在、当時のいっぱいいっぱいだった業務が緩和されたわけではなく、感染防止に取り組む毎日は何も変わることはありません。そのような中で実情を目の当たりにしているのは現場の職員であり、皆同じだからこそ誰にも言えないつらさをそれぞれが持たれていることは十分想定できます。
キャリア・コミュニケーション・サポート(以下CCS)は、そのような現場に入らせていただき、組織外の中立的立場で、医療職の皆様の声をおきかせいただき、この先の過ごし方を一緒に話すことで、今度こそ辛さを緩和し毎日が少しずつでも過ごしやすくなるようなかかわりをさせていただきたいと考えています。
■「管理者のケアをしたい」という看護部長様の思い
「ちょうどいいときに来てくださいました」
A病院の看護部長様はそう言って私を迎え入れてくださいました。
当時コロナ病棟に勤務し、さまざまな取り組みを主体的にされていた管理的立ち位置の方の様子がおかしいと感じられており、他の同僚からも同様の報告を受け、どうしたらよいかと考えていたとのことでした。「職員だれもががんばっていて、全員のケアが必要だと痛感しているけれど、特に管理的立ち位置の看護師長さん看護主任さんが疲弊しているように感じる」と話してくださいました。
■パーソナル診断と面談の重要性について
お話をきかせていただいたのち、ひとつ提案をさせていただきました。
私はこれまで、個人面談の重要性について何度か看護部長様とお話しさせていただく機会がございました。
しかし、今回はパーソナル診断とのセットを御提案いたしました。お話をきいていくなかで、管理職の方々が、だれにも言えない立ち位置にいらっしゃることから、まずはご自身でご自身のことを知っていただくことからはじめたほうがよいと感じたためです。どれだけ疲れているのか、今自身がどんな状態なのか、可視化したものをみることで把握し、それだけでは実感がわかない状況の中で個人面談を体験していただければ、何か少しでも変化をきたすことを実感いただけると思ったからです。
■実際に看護部長様にパーソナル診断を体験いただく
看護部長様はご自身がパーソナル診断を受けてみたいと希望されました。
受けていただいた後、「人には見せられないくらいちょっとはずかしい結果です」とおっしゃいましたが、CCSのパーソナル診断士からの説明を受けると、実はそうではなく、そのままでよいのだということを知ることが出来られました。そして、ぜひこれを試したいと言ってくださったのです。
対象者をどうしようか再度検討いたしました。問題点はいくつかありました。しばらく一緒に話していった結果、やはりはじめに思われた通り「看護師長さん主任さん方のケアをしたい」と決められました。
■師長・主任会の皆様にパーソナル診断を実施いただく
看護部長様はご自身のパーソナル診断を開示して看護師長・主任様方へパーソナル診断と面談を実施したい旨を会議で説明されました。「はじめははずかしくて人に見せられない」と思っていた結果が、実はそうではなかったという実感をされたからだとお話しされていました。会議でお話を聞かれた皆様の同意を得てパーソナル診断と面談を体験いただくことになりました。
後日、皆様に個別に実施いただき、紙面で結果を手にされたときには、どなたもいまいちの表情をされていて、人に見られないよう隠すように持ってらっしゃいました。パーソナル診断士からの説明を受けて、「ようやく何となくわかった」という表情をされていたように思います。アンケートの結果では、30%の方が「思ったパーソナルと違う」「もやっとする」というご感想でした。実はこの感想はとても大事な気づきなのです。
■個別に面談を受けていただく
CCSでは通常面談は50分を推奨いたしております。それには理由があって、30分という時間はたとえ専門のカウンセラーであっても初対面には違いありませんので、ようやく慣れて来るのに時間が必要な場合があるからです。経験による肌感覚ではありますが、そろそろ話せそう・・・と感じ始められるのが30分すぎてからのように思います。しかし、今回、勤務中にお1人ずつお時間を作っていただく関係上30分がちょうどいいとのご要望でしたので、30分で実施させていただきました。個室を御用意いただき、勤務の都合をスケジュールに合わせて対応いただきました。看護部長様のご配慮を受け、職員の皆さまへの思いが伝わってくるようでした。全ての方に面談を受けていただきました結果、さまざまな分野でパーソナル診断を使えそうだと感じていただくことができました。1位 日常における自身のメンタルヘルスの調整、2位 新人とプリセプターとの組み合わせの検討、3位 自部署でのスタッフとのコミュニケーションやサポート という結果でした。さらに、職場にキャリア相談ができる外部の相談員が「いなくてもよい」と回答した方はひとりもいらっしゃいませんでした。必要性を感じていただき、CCSとしてはなによりうれしい評価でした。
■皆さまからの声(抜粋)
★普段なら、あまり気にしていない部分を掘り下げて聞きていただきました。気づいていない行動や、普段気にしていない気分について知る機会になりました。
★自分では気づいていない一面をパーソナル診断で知ることができて良かったと思います。このような機会を設けて頂いたことは非常に良かったです。
★どこが苦手なのかそれに対してどうしたらいいのかを考える機会となりました。今後の自分の働き方も見直し始めました。
★問題解決のアドバイスをいただくことができました
★当該部署の師長や主任のタイプを開示できれは、お互いを知り、病棟運営に活用できる のではないかと思いました
★診断だけでは欠点を更に意識してしまいましたが、面談を受けてプラス思考に意識の変換ができました。
★自身の人間性を仕事にどう活かせるか見い出すことができました。
★自分のモヤっとした気持ちがわかり、少しすっきりした気分になりました。頑張り過ぎず、がんばろうと思います。
★話を聞いていただきアウトプットできたものがありました。おかげさまで少し元気になれました。
★気持ちが楽になりました
★今回の面談で、自分がどんな心理状態か教えていただきました。自分が我慢すればとか自分が悪いと思いがちでしたがそうではないことも客観的な目線で教えていただき勉強になりました。
★面談の中で、診断結果をもとに説明して頂き自然に吸収出来ました。面談後、人との関わり方に少し余裕が持てたように感じます。
■謝辞
A病院の看護部長様、そして看護師長・主任の皆様方、この度はCCSのパーソナル診断と個人面談をご利用いただき誠にありがとうございました。皆様方の患者さんに対する思いや職員の皆様とのかかわり、そして多くのお仕事に対する思いは、想像以上にあたたかく、私どもCCSのほうが感動をいただきました。また何かございましたら、いつでもお声掛けいただけますと幸いです。
■さいごに
パーソナル診断で気づいた自分自身がこれからどうしていけばよいのか面談で見出す。これを日常的に繰り返し行えると、メンタルダウンすることなく平穏に、そして無理なく前向きに仕事に取り組むことができるのではないかと思います。昨今、特に難しいと感じられる人とのコミュニケーション。実は個人での対策があれば、そしてチーム間で理解さえできていれば、さらに自身の強みを互いに活かしあえれば、円滑な組織運営も可能になるとCCSは考えます。
この記事をご覧になられている皆様も、一度CCSのサポートをご利用になってみられませんか?
何かを変えたいとお考えの時には、何かを始めてみることが、その後の一歩につながるのではないかと思います。
そのお手伝いができますことをCCS一同、心より願っております。
文責 キャリア・コミュニケーション・サポート 代表 川口典子